第三章 〜苦悩〜


 そして開業。当初はお客様がすごく喜んでくださいました。特にリフレクソロジー(足もみ)は、きちんと学校で習ったこともあってか効果を実感していただけること度々でした。

 

 感謝されることに充実感を感じていた日々でした。

 

 しかしまもなく、壁にぶつかることになります。

 

 《お客様の症状を改善することができない》という大きな壁に。

 

 もちろん、改善される方も中にはいらっしゃいます。しかしその改善率はかなり低いものでした。

 

 辛い思いから逃れたくて貴重な時間とお金をかけてお越しくださっているのに、その症状を改善することができない。

 

 施術後、明らかに不満足そうな顔をされる方。最初から効果を期待せず、ただの癒しとして「こんなものでしょ」というように割り切られていらっしゃる方。そんな方に直面するたびに思い悩みました。

 

 “どうしたらいいんだろう・・・”

 

 当時教えていただいた先生でさえ、この自分の問いに明確に答えることはできませんでした。

 

 経済的に他の整体学校へ通う余裕もなく、他の整体法・解剖学・生理学・病理学など、独学で勉強を試みました。しかし中々実際の施術とその知識を結びつけることができません。

 

 自分の得ようとしている方法・知識・理論が、果たして正しい方向なのかどうか。それすら分からないのです。そんな中で勉強するのがどれだけ苦しかったことか。

 

 苦悩の日々でした。

 

 癒やし系サロンで働かれている方の中に、≪燃え尽き症候群≫というものを発する方がいるそうです。来店されたお客様の症状改善もできずに、ひたすら癒しだけの施術に徹するジレンマに悩み続け、大体3年で燃え尽きてやめていくのだそうです。

 そういった悩みなどお構いなしに、ひたすら話し上手な≪癒やし系≫に徹すればいいのかもしれない。そう思ったこともありました。

 

 しかしクライアント様の想いに向き合うことなく適当にお茶を濁し、中途半端に仕事をしていくことは、やはり自分にとっては不可能でした。 

 

 そんな悩みを抱えながら4年間もがき続けた後、転機が訪れます。

 

 自分の今までの・そしてこれからの人生の中でも、間違いなく大事なターニングポイントとなるであろう出来事が起こりました。